オールドカーを10倍楽しむ

アルファロメオ1300GTA '72年式 "走る宝石"の異名を持つ― 伝説のレースマシン"

「GTAは1968年から72年にかけてわずか447台生産されただけ。うち300台はレース用で、残り147台が一般用でした。その中で私の車は車台番号で見ると、143台目。この7月に偶然入手したんですよ。」
 笑顔がやさしい檀野隆一さん(柏原市国分本町2-7-20、41歳)は、自動車修理会社を経営。仕事上の付き合いが、思いもしなかった希少車を入手する幸運をもたらした。「この車は世界中に散らばっていますが、レース用のはほとんど壊れているでしょうから、もうかなり少ないでしょうね。

 それに面白いことに、昨年あたりからマニアの間で驚く程高く評価され始めています。これは伝統的なものを求めるレジェンド志向と、投資目的が重なったためでしょう。私は投資などハナから頭になく、成り行きで購入しましたが、今ホットなのはアロファロメオとフェラーリ。次にはポルシェ、といわれています。おかしな具合ですね。
 例えば大山洋二さんや私などが始めたモンテミリア(クラシックカーの先行会)も今年で5回目になりますが、年を追って億を超す豪華な車が集まるうようになり、私達クラスは締め出されかねません(笑)。そこで発起人達で別の催しを考えようと言っているところなんですよ」
 日本にも華麗な催しがあって然るべきだが、何となく口アングリ、の感。
 ともあれ、GTAは本来1600ccだった排気量を、レースでのクラス別優勝を狙い1300ccに下げて搭載。排気量を下げた分、高回転型のエンジン特性としたため、普通の人には運転がしにくい。しかし、その乗りにくさにこそ面白味があり、機嫌のいい時の乾いた音がマニアにはたまらない魅力、という。
直進性、コーナリング、ブレーキングの良さは言わずもがなであり、これが"走る宝石"と言わせる由縁。
 ボディーは総アルミ。鋲は手打ちで、マニアは鋲の間隔まで確かめるのだそう。そして白いボンネットには蛇をかたどったアルファロメオの紋章、サイドにはストライプとクローバーの葉がグリーンで描かれ、ステイタスを雄弁に物語る。
 撮影後、しゃがんだまま車を見つめている。尋ねると「いやあ、見れば見る程飽かないんですよ。どの角度から見てもラインがすごくきれいだから。」しゃがんで見ると、なるほどその通り。目線を変えると、隅々まで行き届いた見事なデザインセンスに気付かされる。普通の車よりやや車高が低いから、しゃがんで見るのが一番なのだ。製作者ベルトーネのエンブレムも印象的。
 欧米では部品在庫も確かなうえ、ある特定の店での修理はオリジナルと同じ価値を認める。それもオリジナリティを大切にするためで、ここにもレジェンドの香り。檀野さんも安心である。

<向 美子>

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